クリスマスローズを何年か育てていますが、この数年、いつも何かの病気にかかるようになってしまいました。病気ついては本やHPに色々書かれていますが、実際に栽培していると病気の特定が難しかったり、どう処置したらいいのか分からないことが沢山あります。
我が家は、株数が少なかったころは病気もほとんどありませんでしたが、増えるにつれて病気にかかることが多くなり、病気の種類もふえました。
これまでは灰色かび病にかかることが多く、昨年はさらに立ち枯れ病とべと病にかかる株が多く出ました。
そこで、この5年ほどの間に経験した病気について、症状と処置を次のとおり簡単にまとめてみました。
ただ、中には病気かどうか難しい症状もあり、最終的に確定できていないものもあります。
1.灰色かび病の症状と処置について
2009年9月、カナリークイーン(濃黄×ゴールドネクタリー)の2年苗に新芽が出ましたが、葉が展開するにつれて葉先がしおれて(枯れて)きて、黒くなってしまいました。
本では、葉の先端や縁から褐色~灰褐色の湿った病斑が生じるとありますが、我が家の場合、葉先がしおれて黒くなっても褐色~灰褐色の湿った病斑はありませんでした。もしかすると、早めに葉先を切除していたからかも知れません。
この症状が灰色かび病なのか特定できませんでしたが、他に該当する病気が見当たらないことから、最も症状が近い灰色かび病として理解しました。
処置としては、当該の葉先をすぐに切除し、殺菌剤を散布しました。しかし、散布後すぐに病気が治るわけではなく、次に出てくる新芽にも症状が現れる場合が多いので、数日おいて何回か殺菌剤を散布するようにしました。ただ、同じ殺菌剤ですと耐性ができてしまうので、ベンレートとエムダイファーなどを交互に使うようにしました。
ところで、2010年の秋は灰色かび病にかからないよう事前に殺菌剤を散布したのですが、新芽が出始めると多くの株で灰色かび病が発生してしまいました。雨が続いたせいなのかも知れませんが、長く不在だったこともあり、病気が拡大しました。
灰色かび病にかかったホワイトダブルグレープピコティです。黒くなった葉先にかびが見えます。早々、羅患部を切除し、殺菌剤を複数回散布しました。
2011年の秋は、殺菌剤(オーソサイド、トップジンM、ベンレート)を交互に定期的に散布したところ、灰色かび病にかかる株は非常に少なくなりました。しかし、2012年の春になるとまた灰色かび病にかかる株が多くなりました。
そこで、ヘレボルス倶楽部の野々口代表に相談したところ、通風の確保も大事だとのことだったので、できるだけ古葉を切るようにしたところ、2013年4月現在はほとんど灰色かび病にかかることもなく、新芽が元気に葉を展開しています。
2.ベと病の症状と処置について
2009年9月、夏越ししたカナリークイーン(黄ゴールド×ゴールドネクタリー)の2年苗の葉に黄色い斑点が現れ、新しく出た葉にも斑点が現れて急速に枯れてきたので、やむなく新しく出た葉を2本切りました。
本では、葉の表面に淡黄色の小さな斑点が現れ、進行すると不整形で大きな褐色の病斑になると書かれていますので、この苗についてはまずべと病で間違いないものと思いました。
処置としては、既に展開している葉の場合は徐々に病斑が広がっていくので、該当部分を大きく切除すればいいのですが、新葉の場合は全体に症状が現れる場合が多いので、結局葉自体を切り取らざるを得ませんでした。その上で殺菌剤を散布しました。灰色かび病と同様、数日おいてビスダイセンやエムダイファーといった殺菌剤を交互に散布しました。2010年春の新葉には症状は出ていません。
しかし、2012年5月になると、急にべと病が出始めました。急いで殺菌剤を散布しましたが、罹病株はそれ以降の新芽もしばらくの間症状が出ました。2013年4月現在はベと病の症状は出ていません。
右側の古葉に淡黄色の斑点が現れたカナリークイーンの2年苗。左側の葉はきれいに黄変していますが、これはべと病によるものというよりはゴールド系の性質によるものです。

葉の周囲が斑点で黄色くなったゴールドネクタリーの2年苗です(2012年5月上旬)。
3.花や新葉の茎葉が黒くすすける症状と処置について
当初は病気、特にブラックデスの前兆と考え、当該部分を切除するとともに殺菌剤を散布し、隔離しました。
本では、新芽、葉柄、花などに、コールタールをなすりつけたような黒い斑点やしみが生じ、葉や花が萎縮して、最終的には株全体が黒く焦げて縮れあがって枯れるとあります。
我が家では、ゴールド系を中心に数鉢が黒くすすけましたが、その後株全体に広がることはなく、枯れることもないので、どちらかというと薬害か薬により誘発された症状ではないかと考えられ、現在は病気とも病気でないとも特定できていません。
処置としては、花には薬剤がかからないようにし、薬剤を散布するときは2,000~3,000倍の薄い希釈液で、回数を多く散布するようにしました。その後黒くすすけることは少なくなりましたが、薬害であるとも特定できていません。茎がすすけるのは、どうも病気が内在している株が、薬剤散布により症状が誘発されて出てくるように思うのですが。
茎が黒くすすけ、新葉に黒いスジが入ったゴールドネクタリーの成株です。
4.軟腐病と処置について
2010年春、かなり鉢土が固くなっていた株があり、このままだと夏越しが難しいと思ったので植え替えました。ところが、植替え直後より雨天が続き、株元の根茎部が腐って葉はしおれて枯れてしまいました。ひどく腐る前に処分したので、腐敗液や悪臭はありませんでした。
処置としては、罹患するとまず治すことは困難なので、予防するしかありません。植替え後や雨天が続く合間の殺菌剤の散布が考えられますが、殺菌剤は雨水で流れてしまうため、植替え直後の株や大事な株はできるだけ雨があたらない場所で管理するのがいいと思います。
5.立ち枯れ病と対処について
2011年秋、猛暑の夏をやっと越したと思ったネオンシェードの2年苗が、涼しくなってきた9月下旬から葉が少しずつしおれ始めました。きっと猛暑で根腐れしたのだろうと思いました。10月下旬になるとしおれてないのは1本だけになったので、11月上旬に植替えました。ところが根は全然腐っておらず、葉元の茎に近い部分が腐っていました。軟腐病に似ていますが、軟腐病のようにドロドロしていません。症状が進んでしまうと、苗を蘇生させることは困難です。
処置としては、植替え時に茎の部分を深植えしすぎないようにすること、また高温時には多湿にしないようにすることです。なお、早期に発見した場合は、新しい用土で植替え、茎の部分を露出させてできるだけ乾かすようにします。そして植替え直後と数週間後に殺菌剤を散布します。
それほどかかることがなかった立ち枯れ病ですが、2012年5月は雨も多かったせいか結構病気にかかる株が出ました。罹病株をよく観察し、色々原因を考えてみたところ、春になって植替えた株に発生していることが多いことが分かりました。
このため、3月以降の植替えを止めたところ、2013年4月現在は立ち枯れ病にかかる株は出ていません。
葉がしおれてきたネオンシェードの2年苗です。
原種のクロアチカスの大株に発生した立ち枯れ病です(2012年5月上旬)。葉元は真っ白なかびで覆われています。
6.病気の処置以前の管理について
病気と思ったら早く病気を特定し、迅速に処置することが第一ですが、それよりもやはり病気にならないよう予防していくことが非常に大事です。一度罹病すると株は相当ダメージを受け、回復するまでにかなりの月数がかかります。特にウイルス性の病気は抑えることはできても、治すことはできません。症状が治まるまでに他の健康な株にうつる危険性も極めて高いです。
予防といっても常に殺菌したりすることはなかなか大変です。このため、芽だしの前後に重点的に殺菌剤を散布するだけでも随分違うと思います。植替え等忙しい中での殺菌剤散布は大変ですが、罹病すればより手がかかることになります。
なお、殺菌剤散布以前に、栽培環境を整えることも非常に重要です。特に通風はなるべく確保したいところです。新芽が伸び始めるときに古葉を切るようにすると、新芽の成育が妨げられず、灰色かび病などにかかることが少なくなります。
追記: 病気について何か情報がありましたら、教えていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
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